ひとりごと

第28回 火事現場検証における鉱物油分析

第28回 火事現場検証における鉱物油分析

 

火災現場で採取された油臭が感じられない「もえがら」から鉱物油を検出することは不可能と考えられていた。今から20年くらい前の話になるが,非常に困難だとは思うが鉱物油が含まれているかどうか分析してほしいという依頼が研究所に持ち込まれた。われわれも自信のないまま分析に同意した。臭いも感じないし検出できる可能性はほとんどないのではないかと考えていた。

先ずは燃え残りが見られる部分を5カ所採取し,ペンタンで抽出した後30℃以下でゆっくり濃縮して分析したところ,その中の1カ所から脂肪族炭化水素が検出された。熱によってピークの形は高分子シフトしていたが,その成分は灯油に非常に近かった。そのとき,消防隊員が非常に感激されたのは今でも忘れられない。無理と思ってもやってみるものである。次年度からは消防局で分析費が確保され研究所で依頼分析を行ってきた。

家屋のどこにどのような鉱物油が撒かれたかを調査することは,火事の現場検証において非常に重要なことである。